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S Corp vs. LLC:違いは何か—どちらがあなたの帳簿に適しているか?

· 約9分
Mike Thrift
Mike Thrift
Marketing Manager

ビジネス構造を選ぶことは、最初の本格的な「財務」意思決定のひとつです。責任保護とパススルー課税を求める小規模チームやソロ創業者にとって、候補は通常 LLCS corporation のどちらかです。

本ガイドでは、法的、運営上、税務上の違いを解説し、Beancount.io(フリーランサーから S corp までスケールするプレーンテキスト・複式簿記)でどちらの構造でもクリーンで監査に耐える記録を保つ方法を示します。

2025-08-11-s-corp-vs-llc


一目でわかる比較

S CorpLLC
何であるかIRS に選択させる法人または LLC の税ステータス州が作成する柔軟なガバナンスを持つ法的実体
責任保護ありあり
所有者最大 100 人の米国株主;エンティティ所有者は不可無制限のメンバー;エンティティや非米国所有者も可(州により異なる)
運営法人定款、取締役/役員、会議と議事録運営契約に基づく;形式的手続きは少ない
株式のクラス1 クラスの株式(経済的権利は同一)柔軟なメンバーシップ単位とウォーターフォール
課税パススルー;Form 1120‑S を提出デフォルトはパススルー(Schedule C または Form 1065);S または C 課税を選択可能
所有者の給与働く所有者は給与支払(合理的給与)を給与計算で支払う必要ありメンバーは配当を受け取る;デフォルトで所有者に給与計算は不要
存続期間と譲渡永続的;株式は一般に譲渡可能譲渡にはメンバーの同意が必要;規則は運営契約で設定
最適なケース利益が出ているオーナー経営者で給与が必要;投資家へのシグナルが明確柔軟な所有権、利益配分、または非米国/エンティティメンバー;手続きが簡素

実際の違い

LLC と S corp はどちらも重要な責任保護を提供しますが、法的・財務的な仕組みは根本的に異なります。以下でそれぞれの特徴を掘り下げます。

設立と形式要件

Limited Liability Company(LLC) は州法で作られる法的実体です。設立には「組織定款(articles of organization)」を州に提出し、事業運営や利益配分の方法を定めた「運営契約(operating agreement)」を採用します。

一方 S corporation は実体そのものではなく、IRS に対して Form 2553 を提出して行う 税選択(tax election) です。この選択は標準的な C corporation または LLC に適用できます。S corp ステータスを取得すると、定款作成、取締役・役員の任命、年次会議の開催、会議議事録(minutes)の詳細な記録など、より厳格な法人形式要件を守らなければなりません。

所有権と投資家

LLC の最大の特徴は所有権の柔軟性です。個人、他の法人、外国人を含む無制限の「メンバー」を持て、運営契約でカスタムな利益配分(ウォーターフォール)や異なるメンバーシップクラスを設定できます。

S corp ははるかに制限が厳しいです。所有者は最大 100 人の「株主」までで、全員が米国市民または居住者でなければなりません。法人やパートナーシップは株主になれません。また、株式は 1 クラスのみで、全株主が同一の経済的権利を持ちます。このシンプルさはキャップテーブルをすっきりさせますが、投資可能な相手を大幅に制限します。

税務と申告

デフォルトでは LLC はパススルー課税です。

  • 単一メンバー LLC は「無視される実体(disregarded entity)」として扱われ、所得と費用は所有者の個人 Form 1040 の Schedule C に記載します。
  • 複数メンバー LLC はパートナーシップ税申告書 Form 1065 を提出し、各メンバーに利益・損失のシェアを示す Schedule K‑1 を発行します。

S corp もパススルー課税ですが、独自の事業税申告書 Form 1120‑S を提出し、株主に K‑1 を配布します。大きな違いは、会社で働く所有者は従業員として扱われ、合理的な給与を給与計算システムで支払わなければならない点です。

所有者の報酬方法

これは最も重要な相違点のひとつです。LLC のメンバーは従業員ではなく、配当(distributions) を受け取ります。メンバーは純利益全額に対して所得税と自営業税(社会保障・医療保険)を支払う義務があります。実際に引き出した現金額に関わらずです。

S corp のオーナー兼従業員は二段階のシステムです。

  1. 合理的給与:業務に見合った給与を支払う必要があり、標準の給与税(FICA)が適用されます。会社は雇用者負担分を支払い、従業員は本人負担分を支払います。
  2. 配当:残りの利益は配当として支払われ、自営業税や FICA の対象外です。この税金の節約が S corp を選ぶ主な理由です。IRS は給与が「合理的」であることを求めるため、給与額の根拠を文書化しておく必要があります。

譲渡性と存続期間

S corp の株式は通常の株式会社株式と同様に自由に譲渡でき、株主が離脱・死亡しても法人は存続します(永続的)。

LLC の所有権移転はより複雑です。運営契約が譲渡ルールを定め、通常は他のメンバーの同意が必要です。これにより、外部への株式売却が制限されます。

LLC に対して S Corp ステータスを選択すべきか?

LLC に対して S Corp ステータスを選択すべきかどうかは、事業の成長段階と財務目標によります。以下のポイントを参考に判断してください。

創業者が切り替えるタイミングは次のときです:

  • 事業が安定的に利益を上げ、所有者が給与を受け取る必要があるとき
  • 投資家からの資金調達を検討し、米国株主の上限が問題にならないとき
  • 現行の税構造(パススルー)で税負担が大きく、S または C 課税への変更が有利になるとき

LLC に対して S Corp ステータスを選択すると具体的な変更があります:

  • 株主への Form 1120‑S 提出義務が発生
  • 従業員としての 給与計算 が必須になる
  • 譲渡可能な株式が増えるため、株式の 議事録株主名簿 の管理が必要

LLC のままでいる方が良い場合は?

  • 柔軟な所有権構造や利益配分が必要で、非米国メンバーや法人メンバーがいるとき
  • 手続きや書類作成の負担を最小限に抑えたいとき
  • 投資家へのシグナルよりも内部のガバナンス柔軟性を重視するとき

結論
「LLC と S corp のどちらが自社にとって最適か」は、利益構造、所有者の報酬形態、将来の資金調達計画に依存します。上記のポイントを踏まえて、税務顧問や法務専門家と相談しながら最適な選択を行いましょう。

どちらの形態でも Beancount.io で帳簿をクリーンに保つ方法

ビジネス構造に関わらず、正確で整理された帳簿は財務の透明性と意思決定の質を高めます。Beancount.io はプレーンテキストで複式簿記を実現し、柔軟かつ拡張性の高いプラットフォームです。

勘定科目表の提案

  • Revenue(収益):売上、サービス収入、その他収入
  • Cost of Goods Sold(売上原価):材料費、外注費、直接労務費
  • Operating Expenses(営業費用):賃貸料、光熱費、マーケティング費、給与(合理的給与が必要な場合)
  • Owner Distributions(所有者配当):LLC の配当、S corp の配当
  • Taxes(税金):法人税、州税、給与税(FICA)

例示エントリ

LLC メンバー配当:

2025-01-15 * "LLC member distribution"
Assets:Bank -5000.00 USD
Equity:Members:John 5000.00 USD

S corp オーナー給与(給与実行から):

2025-02-01 * "S corp owner salary (from a payroll run)"
Expenses:Payroll 3000.00 USD
Liabilities:Taxes:FICA 460.00 USD
Assets:Bank -3460.00 USD

S corp 株主配当:

2025-03-10 * "S corp shareholder distribution"
Assets:Bank -2000.00 USD
Equity:Shareholders 2000.00 USD

税務時にループを閉じる

税務申告の際は、すべての収益・費用が正しくパススルーされ、必要なフォーム(Form 1120‑S、Form 1065、Schedule C など)が適切に添付されていることを確認します。Beancount のレポート機能を活用すれば、期末の損益計算書やバランスシートを瞬時に生成でき、税務署や投資家への提出資料を簡単に作成できます。

それぞれの選択が光る場面

LLC(または継続)を選ぶべきは次の場合:

  • 柔軟な所有権構造や利益配分が必要
  • 非米国メンバーや法人メンバーがいる
  • 手続きや議事録の作成コストを最小化したい

S corp(または選択)を選ぶべきは次の場合:

  • 事業が安定的に利益を上げ、所有者に給与が必要
  • 投資家や金融機関に対して「株式会社」的な透明性を示したい
  • 自営業税や FICA の節税効果を最大化したい

結論

LLC と S corp はそれぞれ異なる強みと制約を持ちます。事業の成長段階、所有者の報酬形態、将来の資金調達計画を踏まえて、最適な構造を選択してください。どちらを選んでも、Beancount.io を活用すれば、正確でクリーンな帳簿管理が可能です。

Beancount.io で税務・投資家対応の帳簿を構築する

  • 税務対応:パススルー課税のメリットを活かし、必要な Form(1120‑S、1065、Schedule C など)を自動で生成
  • 投資家対応:シンプルなキャップテーブルと明確な財務指標で、投資家への説明が容易に
  • スケーラビリティ:フリーランサーから大規模法人まで、同一のプレーンテキストフォーマットで管理可能

今日から Beancount.io でスリムな元帳を始めましょう。


免責事項:本ガイドは一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務・法務の判断については、必ず専門家にご相談ください。

S Corp 株式基礎—創業者向け実践ガイド(Beancount.io 例付き)

· 約8分
Mike Thrift
Mike Thrift
Marketing Manager

S法人を運営している場合、株主基礎は損失が控除可能か、配当が非課税かを決定する静かな数値です。毎年変動し、株主としてその管理はあなたの責任です。ここでは平易な説明と、Beancount.io で基礎をきれいにモデル化する方法をご紹介します。


2025-08-06-s-corp-stock-basis-a-practical-guide-for-founders

「基礎」とは何か(簡潔に)

株式基礎を、S法人におけるあなた自身の投資スコアカードと考えてください。最初の拠出金、すなわち株式の取得代金や会社に投入した資産の価値から始まります。その後は変動する数値です。

会社が利益を上げたとき(課税所得でも非課税所得でも、あなたの持分分)や、追加で資本を拠出したときに基礎は増加します。非課税の配当を受け取ったときや、会社が損失・控除・非控除費用を計上したときは減少します。

重要なのは、株式基礎はゼロ未満になることはありません。会社の損失が基礎を上回る場合、余剰損失は繰延されます。現在は控除できませんが、将来基礎が十分になる年に繰り越して使用できます。Form 7203(個人のForm 1040と共に提出)で基礎計算と繰延損失を報告します。

S法人に直接貸付を行っている場合、債務基礎が発生します。これは株式基礎がなくなった後に損失を吸収する第2の層となります。

S法人 と C法人 の基礎(要点)

  • S法人 の基礎は流動的で、毎年調整が必要です。パススルー特性のため、会社の業績が直接基礎に反映されます。利益も損失も基礎に直結します。
  • C法人 の株式基礎は基本的に静的です。取得価格が基礎となり、株式分割や資本還元など特定の企業行為でのみ変動します。

S法人の基礎計算方法(正しい順序)

基礎の計算は単なる足し算・引き算ではなく、正しい順序で行う必要があります。IRS は特定の手順を定めています。毎年、S法人のForm 1120‑S から取得した Schedule K‑1 を基に、年初の基礎から次のように調整します。

  1. 増加:課税所得と 非課税所得(例:地方債利子)を含むすべての収入項目。
  2. 減少:その年に受け取った 配当(ただし基礎がマイナスになることはありません)。
  3. 減少非控除費用(例:特定の罰金や接待費)。
  4. 減少損失および控除(例:普通事業損失や慈善寄付)。

Step 4 の損失・控除の合計が残りの基礎を超える場合は按分が必要です。余剰分は繰延され、将来の収入や追加拠出で基礎が回復するまで繰り越されます。

重要なポイント

  • 個人的に 会社の借入を保証 しても基礎は生じません。実際に自己資金で 支払った ときにのみ基礎が発生します。
  • オーナー 給与(S法人からの給与)は基礎に影響しません。これは労働に対する報酬であり、会社側では費用、受取側ではW‑2所得として扱われ、所有者としての立場とは完全に別です。

実例(数値の照合)

当該年度の単一株主の事実:

  • 初期拠出金:$18,000
  • 普通配当(K‑1 ボックス 5a):$2,000
  • 受取配当(K‑1 ボックス 16D):$7,000
  • 非控除費用の持分(K‑1 ボックス 16C):$3,000
  • 普通事業損失の持分(K‑1 ボックス 1):($9,000)
  • 慈善寄付の持分(K‑1 ボックス 12A):$6,000
  • 株主には債務基礎がありません。

以下、ステップごとの計算です:

Step 1 — 収入による増加
開始基礎 18,000に配当収入18,000 に配当収入 2,000 を加算します。
18,000+18,000 + 2,000 = $20,000

Step 2 — 配当による減少
受取配当 7,000を基礎から差し引きます。7,000 を基礎から差し引きます。 20,000 − 7,000=7,000 = 13,000

Step 3 — 非控除費用による減少
非控除費用持分 3,000を差し引きます。3,000 を差し引きます。 13,000 − 3,000=3,000 = 10,000

Step 4 — 損失・控除の適用
普通損失 9,000と慈善寄付9,000 と慈善寄付 6,000 の合計 15,000が残基礎15,000 が残基礎 10,000 を超えるため、按分します。

  • 許容できる普通損失 = 9,000×(9,000 × (10,000 / 15,000)15,000) ≈ 6,000
  • 許容できる慈善寄付 = 6,000×(6,000 × (10,000 / 15,000)15,000) ≈ 4,000

残りの 3,000の普通損失と3,000 の普通損失と 2,000 の慈善寄付は 繰延 され、翌年へ繰り越されます。

当該年度の最終株式基礎は $0 です(マイナスにはなりません)。許容された損失と控除は確定申告書に記載し、繰延分は将来使用するために追跡します。

Beancount.io での S法人 基礎追跡(プレーンテキストパターン)

散らかったスプレッドシートの代わりに、Beancount.io でシンプルかつ監査可能な基礎台帳を直接管理できます。企業帳簿にも個人用ミラーファイルにも配置可能です。ポイントは「メモ」エクイティ勘定を使って基礎の推移を記録することです。

推奨勘定例

  • Equity:Shareholder:Paid-In-Capital
  • Equity:Shareholder:Distributions
  • Equity:Shareholder:Stock-Basis (オフバランスシートの「メモ」勘定で、Form 7203 用の公式な基礎推移を追跡します)
  • Income:PassThrough:*
  • Expenses:Nondeductible
  • Expenses:Charitable

実例エントリ

初期拠出金:

2023-01-01 open Equity:Shareholder:Paid-In-Capital
2023-01-01 open Equity:Shareholder:Distributions
2023-01-01 open Equity:Shareholder:Stock-Basis
2023-01-01 open Income:PassThrough:*
2023-01-01 open Expenses:Nondeductible
2023-01-01 open Expenses:Charitable

初期拠出金:

2023-01-02 * "Initial capital contribution"
Equity:Shareholder:Paid-In-Capital $18,000.00
Equity:Shareholder:Stock-Basis $18,000.00

普通配当(K‑1 ボックス 5a):

2023-03-15 * "Ordinary dividend"
Income:PassThrough:Dividends $2,000.00
Equity:Shareholder:Stock-Basis $-2,000.00

受取配当(K‑1 ボックス 16D):

2023-06-30 * "Distribution received"
Equity:Shareholder:Distributions $7,000.00
Equity:Shareholder:Stock-Basis $-7,000.00

非控除費用の持分(K‑1 ボックス 16C):

2023-09-01 * "Nondeductible expense allocation"
Expenses:Nondeductible $3,000.00
Equity:Shareholder:Stock-Basis $-3,000.00

普通事業損失と慈善寄付の持分(K‑1 ボックス 1 と 12A):

2023-12-31 * "Losses and charitable contribution allocation"
Expenses:Charitable $6,000.00
Expenses:Loss:Ordinary $9,000.00
Equity:Shareholder:Stock-Basis $-15,000.00

このパターンは Equity:Shareholder:Stock-Basis 勘定に透明な 基礎推移 を保持し、Form 7203 と正確に連動させます。すべての変更が日付付きで追跡可能なため、監査人に好評です。

よくある落とし穴

  • 保証を基礎とみなす:会社への保証は基礎を生みません。実際に自己資金で 支払った ときにのみ基礎が発生します。
  • 基礎不足での配当受取:基礎が足りない状態で配当を受け取ると、控除できない損失が発生します。
  • 非課税所得の忘却:非課税所得(例:地方債利子)を基礎計算に含めないと、基礎が過小評価されます。
  • 給与と配当の混同:オーナー給与は基礎に影響せず、会社の費用およびW‑2所得として扱われます。配当とは別物です。

結論

基礎は S法人 の税務上の重要な指標であり、正しい手順で計算・管理することが不可欠です。Beancount.io を活用すれば、プレーンテキストで監査可能な基礎台帳を簡単に構築できます。

Beancount.io で基礎(およびその他)を整頓する

  • バージョン管理可能で監査可能なプレーンテキストの複式簿記。
  • K‑1 に対応したカテゴリと基礎追跡用の専用メモ勘定。
  • 銀行・クレジットカード・決済プロセッサからの自動インポートで手入力を削減。
  • 税務用レポートがそのまま税理士に利用可能。

今すぐ Beancount.io でクリーンかつ監査可能な S法人ワークフローを始めましょう。

本記事は情報提供のみを目的としており、税務または法的助言を構成するものではありません。具体的な状況に応じた助言は、専門のアドバイザーにご相談ください。