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「財務追跡」タグの記事が3件件あります

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Beancountで受取勘定をナビゲート

· 約4分
Mike Thrift
Mike Thrift
Marketing Manager

個人財務管理の迷路において、Beancount はプレーンテキスト簿記の中で明快さと精度の灯台として浮かび上がります。特に「受取勘定」――他者から受け取るべき金銭――の管理に関しては、Beancount が構造化されたアプローチを提供し、財務記録を完璧に整えることができます。本ブログでは、受取勘定の追跡、返金処理、未解決取引の管理手順を Beancount で実践する方法をご案内します。購入品の返品、金銭の貸付、返金待ちのいずれの場合でも、本稿が財務の明瞭さへのロードマップとなります。

Beancount における受取勘定の理解:

2024-02-17-navigating-receivables-beancount-guide

受取勘定とは、あなたに対して支払われるべき金銭を指します。たとえば、ショッピングの返品後に返金を待っている場合や、誰かにお金を貸した場合などが該当します。例として、Amazon.com で時計のストラップを返品し、返金を待っているシナリオを考えてみましょう。Beancount では、この取引はクレジットカード負債から資産の受取勘定へ金銭が移動した形で記録されます。

2023-10-31 * "Amazon.com" "[Return] Watch Strap"
Liabilities:CreditCard:Chase -12.00 USD
Assets:Receivables

返金の処理:

返金が実行され、金銭が口座に戻ったら、受取勘定の残高を相殺するために別の取引を記録します。これにより、口座は返金された金額を正しく反映します。

2023-11-01 * "Amazon.com" "[Refund] Watch Strap"
Liabilities:CreditCard:Chase 12.00 USD
Assets:Receivables

完全な取引サイクル:

受取勘定を伴う入出金の一連の取引は、上記の二つの取引を組み合わせた形で表現され、返金後にバランスが取れた状態となります。

2023-10-31 * "Amazon.com" "[Return] Watch Strap"
Liabilities:CreditCard:Chase -12.00 USD
Assets:Receivables

2023-11-01 * "Amazon.com" "[Refund] Watch Strap"
Liabilities:CreditCard:Chase 12.00 USD
Assets:Receivables

未解決取引の扱い:

返金や返済がまだ受領されていない取引には、#UNRESOLVED タグを付与します。このタグにより、未決済の金額を簡単に特定・追跡できます。例として以下をご覧ください。

2023-10-31 * "John Doe" "Lending Money" #UNRESOLVED
Liabilities:CreditCard:Chase -100.00 USD
Assets:Receivables

#UNRESOLVED タグが付いた取引だけを抽出すれば、まだ決済されていない金額を迅速に把握できます。

ゼロ残高の維持:

正しい元帳では、Assets:Receivables 勘定下の全取引(#UNRESOLVED タグが付いたものを除く)の合計が理想的にゼロになるべきです。これにより、期待されるすべての資金が帳簿上で処理済みとなり、財務記録の整合性が保たれます。

例えば、以下のように未解決取引が明示的にマークされている元帳は有効です。

2023-10-31 * "Amazon.com" "[Return] Watch Strap"
Liabilities:CreditCard:Chase -12.00 USD
Assets:Receivables

2023-11-01 * "Amazon.com" "[Refund] Watch Strap"
Liabilities:CreditCard:Chase 12.00 USD
Assets:Receivables

2023-10-31 * "John Doe" "Lending Money" #UNRESOLVED
Liabilities:CreditCard:Chase -100.00 USD
Assets:Receivables

一方、受取勘定の残高がゼロに戻らない取引がある場合は、#UNRESOLVED タグを付与して修正が必要です。

結論

Beancount における受取勘定の管理は決して難しくありません。取引の記録方法、返金の処理、未解決取引の監視を正しく理解すれば、正確で信頼性の高い財務記録を維持できます。Beancount の構造化されたアプローチを活用すれば、財務追跡がシンプルになるだけでなく、すべての金銭が確実に管理されているという安心感も得られます。さあ、Beancount の力を借りて、財務管理をよりスムーズに実現しましょう。

Beancount における売掛金と買掛金の理解

· 約4分
Mike Thrift
Mike Thrift
Marketing Manager

皆さん、こんにちは!本日のブログでは、シンプルさとパワフルさで多くの人に愛されている複式簿記ツール Beancount の世界に迫ります。特に、重要な概念である 売掛金買掛金 の2つについて解説します。

これらの用語を正しく理解することは、Beancount(あるいは任意の複式簿記システム)を効果的に使う上で不可欠です。初心者の方でも安心してください。一つずつ丁寧に説明していきます。

売掛金と買掛金:基本

2023-05-30-receiveable-and-payable

会計において 「売掛金」「買掛金」 は、金銭の債権・債務を管理するための用語です。

  • 売掛金 は、他者が自分に対して支払うべき金額(受取債権)を指します。
  • 買掛金 は、自分が他者に対して支払うべき金額(支払債務)を指します。

例を見てみましょう。

  1. 売掛金(Accounts Receivable, A/R):書店を経営していて、顧客がクレジットで本を購入したとします。その本代金は顧客から受け取るべき「売掛金」になります。
  2. 買掛金(Accounts Payable, A/P):逆に、出版社から新刊を仕入れたが、まだ支払っていない場合、その未払金は「買掛金」になります。

Beancount では、これらは対応する勘定科目で管理されます。これにより、任意の時点で自分の財務状況を正確に把握できるのです。

Beancount で売掛金・買掛金を設定する

Beancount ファイルの構造は、シンプルでも複雑でも自由に設計できます。売掛金と買掛金を管理するには、資産(Assets)負債(Liabilities) の下にそれぞれ専用の勘定科目を作成すると良いでしょう。

1970-01-01 open Assets:AccountsReceivable
1970-01-01 open Liabilities:AccountsPayable

取引の記録

売掛金側(受取側)

勘定科目を作成したら、売掛金・買掛金に関わる取引を記録します。例を見てみましょう。

2023-05-29 * "Sold books to customer on credit"
Assets:AccountsReceivable 100 USD
Income:BookSales -100 USD

この取引では、顧客が 100 USD をクレジットで購入したため、売掛金 が 100 USD 増加し、同時に 売上 が -100 USD(収益の減少)として記録されます。実際に現金が入ってきていないので、バランスが保たれます。

顧客が支払ったときは次のように記録します。

2023-06-01 * "Received payment from customer"
Assets:Bank:Savings 100 USD
Assets:AccountsReceivable -100 USD

ここでは、銀行口座 に 100 USD が増え、売掛金 が同額減少します。

買掛金側(支払側)

買掛金も同様の原理ですが、符号が逆になります。

2023-05-30 * "Bought books from publisher on credit"
Liabilities:AccountsPayable 200 USD
Expenses:BookPurchases -200 USD

出版社からクレジットで本を仕入れたため、買掛金 が 200 USD 増加し、同時に 経費 が -200 USD として記録されます。

支払いが完了したら次のように記録します。

2023-06-02 * "Paid off debt to publisher"
Liabilities:AccountsPayable -200 USD
Assets:Bank:Checking 200 USD

まとめ

売掛金と買掛金は、あらゆる会計システムの核となる要素です。正確に追跡することで、財務状態を包括的に把握できます。

ここで紹介したのは出発点に過ぎません。Beancount はさらに高度な機能も備えています。本記事が概念の理解に役立ち、実務での活用の第一歩となれば幸いです。
それでは、楽しい会計ライフを!

純利益 101 — Beancountでの追跡方法

· 約6分
Mike Thrift
Mike Thrift
Marketing Manager

ビジネスを表す数値の中で、ひとつだけは他を圧倒します:純利益です。これは収益性の究極の指標であり、いわゆる「最終利益」です。しかしそれは実際に何を意味し、プレーンテキスト会計システムであるBeancountを使ってどのように正確に追跡できるのでしょうか?

では、分解してみましょう。

2020-03-12-net-income-101-how-to-track-it-in-beancount

純利益の本当の意味

本質的に、純利益とはビジネスを運営するために必要なすべての支出(売上原価(COGS)、すべての営業費用、負債の利息、税金)を支払った後に残る金額です。

これは企業の財務健全性を示す最も明確な単一指標です。すべての関係者にとって重要な数値です:

  • 貸し手 は、返済能力を測るために純利益を見る。
  • 投資家 は、配当の源泉や成長に回せる資本として純利益を見る。
  • 創業者 は、財務的なランウェイを把握し、戦略的な再投資計画を立てるために純利益に依存する。

純利益がプラスであれば利益が出ていること、マイナスであれば損失が出ていることを意味します。シンプルです。

基本式(必要な詳細レベルを選択)

純利益は粒度の異なる計算式で求められます。どの程度詳細に分析したいかで選びます。

  • フル式: Revenue – COGS – Operating Expenses – Interest – Taxes = Net Income
  • 標準式: Revenue – COGS – Expenses = Net Income
  • 簡易式: Total Revenues – Total Expenses = Net Income

コストに関するちょっとしたコツ: COGS と営業費用の違いは何か? COGS(売上原価) は製品やサービスの直接的なコスト(例:原材料、直接労務)を指します。 営業費用 はそれ以外の、事業を継続させるために必要な費用—給与、家賃、ソフトウェアサブスクリプション、保険など—を指します。

ミニ例

具体的にイメージしてみましょう。小さなコーヒーロースティング事業が先月以下の結果を出したとします。

項目金額例示元帳勘定
売上収益$60,000Income:Sales
COGS(グリーンコーヒー豆)$20,000Expenses:COGS
営業費用$18,000Expenses:Ops:*
設備ローンの利息$1,000Expenses:Interest
税金$1,000Expenses:Taxes

フル式を使うと計算はシンプルです:

Net;Income=Net;Income = 60,000 - 20,00020,000 - 18,000 - 1,0001,000 - 1,000 = 20,00020,000

この事業は月間で実質的に $20,000 の利益を上げました。

Beancountでの記録方法

Beancount の構造はこの目的に最適です。アカウントを論理的に整理すれば、純利益は優れた簿記の副産物として自動的に算出されます。

  • すべての収益 を親アカウント Income の下にタグ付けします(例:Income:SalesIncome:Services)。
  • 費用を分割 して直接費と間接費を区別します。直接費は Expenses:COGS、それ以外は Expenses:Ops:SalariesExpenses:Ops:Software などのサブアカウントに振り分けます。
  • 利息と税金はそれぞれ専用アカウントExpenses:InterestExpenses:Taxes)に記録します。これにより、特に税務処理時の分析が格段に楽になります。
  • 定期的に残高を確認 します。基本的な会計等式 Assets = Liabilities + Equity が常に成り立つことを確認してください。

期間末(例:月末)には balance アサーションを使って各アカウントの状態を確認できます。これらのエントリは実際に資金を移動させるものではなく、残高が あるべき 状態であることを宣言し、bean-check が不一致をエラーとして報告します。

; 2025-07-31 Coffee Roaster Enterprises — July close
2025-07-31 balance Assets:Bank:Operating 42000.00 USD
2025-07-31 balance Expenses:COGS 20000.00 USD
2025-07-31 balance Expenses:Ops 18000.00 USD
2025-07-31 balance Expenses:Interest 1000.00 USD
2025-07-31 balance Expenses:Taxes 1000.00 USD
2025-07-31 balance Income:Sales -60000.00 USD

ワンライン純利益クエリ

ここが魔法の部分です。構造化された元帳があれば、単一コマンドで任意の期間の純利益を算出できます。

bean-query books.beancount \
"SELECT period, sum(number) WHERE account = '^(Income|Expenses)' \
AND year = 2025 GROUP BY month"

このクエリは 2025 年の IncomeExpenses アカウントのすべての金額を合計し、月単位でグループ化します。Beancount では収益は負数、費用は正数で表されるため、結果は純利益の 負数 となります。

さらに便利なのは、手動でクエリを実行しなくてもよいことです。Beancount のウェブインターフェースである Fava は、Reports → Income Statement ビューで自動的にグラフ化してくれます。

自動化できる高速インサイト

元帳がテキストファイルだけなので、強力な自動化ワークフローを構築できます。

  • 月次メールダイジェスト: bean-report books.beancount income_statement > net-income.txt を cron ジョブで実行し、毎月 1 日に生成されたテキストファイルを自分宛にメール送信します。
  • 収益性アラート: Git の pre‑commit フックでクエリを走らせ、月初からの純利益がマイナスの場合はコミットを拒否させ、赤字月を認識させます。
  • シナリオモデリング: ビジネスのストレステストをしたいですか? books.beancountscenarios/recession.bean にコピーし、Income エントリを 20% 減らして再度純利益クエリを実行すれば、影響を即座に確認できます。

主なポイント

  • 純利益は真の最終利益です。プラスを保ち、時間経過でのトレンドを把握することが目標です。
  • Beancount は計算式を明示的にし、検索可能でバージョン管理が可能です。隠れた計算式はありません。
  • 整然としたアカウント構造と単一クエリさえあれば、ビジネスが本当に利益を上げているか常に把握できます。