Beancount における売掛金と買掛金の理解
皆さん、こんにちは!本日のブログでは、シンプルさとパワフルさで多くの人に愛されている複式簿記ツール Beancount の世界に迫ります。特に、重要な概念である 売掛金 と 買掛金 の2つについて解説します。
これらの用語を正しく理解することは、Beancount(あるいは任意の複式簿記システム)を効果的に使う上で不可欠です。初心者の方でも安心してください。一つずつ丁寧に説明していきます。
売掛金と買掛金:基本
会計において 「売掛金」 と 「買掛金」 は、金銭の債権・債務を管理するための用語です。
- 売掛金 は、他者が自分に対して支払うべき金額(受取債権)を指します。
- 買掛金 は、自分が他者に対して支払うべき金額(支払債務)を指します。
例を見てみましょう。
- 売掛金(Accounts Receivable, A/R):書店を経営していて、顧客がクレジットで本を購入したとします。その本代金は顧客から受け取るべき「売掛金」になります。
- 買掛金(Accounts Payable, A/P):逆に、出版社から新刊を仕入れたが、まだ支払って いない場合、その未払金は「買掛金」になります。
Beancount では、これらは対応する勘定科目で管理されます。これにより、任意の時点で自分の財務状況を正確に把握できるのです。
Beancount で売掛金・買掛金を設定する
Beancount ファイルの構造は、シンプルでも複雑でも自由に設計できます。売掛金と買掛金を管理するには、資産(Assets) と 負債(Liabilities) の下にそれぞれ専用の勘定科目を作成すると良いでしょう。
1970-01-01 open Assets:AccountsReceivable
1970-01-01 open Liabilities:AccountsPayable
取引の記録
売掛金側(受取側)
勘定科目を作成したら、売掛金・買掛金に関わる取引を記録します。例を見てみましょう。
2023-05-29 * "Sold books to customer on credit"
Assets:AccountsReceivable 100 USD
Income:BookSales -100 USD
この取引では、顧客が 100 USD をクレジットで購入したため、売掛金 が 100 USD 増加し、同時に 売上 が -100 USD(収益の減少)として記録されます。実際に現金が入ってきていないので、バランスが保たれます。
顧客が支払ったときは次のように記録します。
2023-06-01 * "Received payment from customer"
Assets:Bank:Savings 100 USD
Assets:AccountsReceivable -100 USD
ここでは、銀行口座 に 100 USD が増え、売掛金 が同額減少します。
買掛金側(支払側)
買掛金も同様の原理ですが、符号が逆になります。
2023-05-30 * "Bought books from publisher on credit"
Liabilities:AccountsPayable 200 USD
Expenses:BookPurchases -200 USD
出版社からクレジットで本を仕入れたため、買掛金 が 200 USD 増加し、同時に 経費 が -200 USD として記録されます。
支払いが完了したら次のように記録します。
2023-06-02 * "Paid off debt to publisher"
Liabilities:AccountsPayable -200 USD
Assets:Bank:Checking 200 USD
まとめ
売掛金 と買掛金は、あらゆる会計システムの核となる要素です。正確に追跡することで、財務状態を包括的に把握できます。
ここで紹介したのは出発点に過ぎません。Beancount はさらに高度な機能も備えています。本記事が概念の理解に役立ち、実務での活用の第一歩となれば幸いです。
それでは、楽しい会計ライフを!