ビジネス銀行口座を開設する方法
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個人資産と事業資産を分けることは良い慣行というだけでなく、多くの起業家にとって法的・税務上の必須条件です。顧客に請求書を発行し、売上税を徴収し、外注先へ支払いを始めた瞬間から、専用のビジネス銀行口座は有限責任を守り、会計業務を効率化し、取引先からの信頼を高めます。それでも、どの銀行を選ぶべきか、必要な書類は何か、オンボーディングがどのように進むのか分からず、開設を先延ばしにするケースは少なくありません。本記事では、口座開設を安心して進め、Beancountで整然と管理するための手順を分かりやすく解説します。
1. 事業体の形態と登録状況を確認する
銀行は口座開設前に事業が適法に登録されているかを確認する義務があります。まずは以下の基礎書類を整えましょう。
- 法人格の登録。 LLC、株式会社、パートナーシップ、DBAなど、事業を行う州で必要な登録を済ませます。個人事業主でもブランド名を使う場合は商号登録が求められることが多いです。
- 雇用者識別番号(EIN)の取得。 単一メンバーLLCや個人事業主でも、銀行書類に社会保障番号を記載せずに済むため取得する価値があります。
- 所有権関連の書類を揃える。 定款、Operating Agreement、パートナー契約など、誰が会社を管理し口座開設権限を持つかを示す書類を準備します。
医療、法律、金融アドバイザリーなど規制産業で事業を営む場合は、必要な業務ライセンスも用意しておきましょう。書類一式を事前に整えておくことで、何度も支店に足を運ぶ手間を省けます。
2. 自社に合った口座タイプを選ぶ
ビジネス口座は銀行ごとに特徴が異なります。比較時には次のポイントに注目してください。
- 最低残高と月額手数料。 一定の平均残高を維持したり、特定サービスを利用したり、関連口座を連携したりすることで手数料が免除される場合があります。キャッシュフローを試算し、余計なコストを避けましょう。
- 取引件数や現金預け入れ限度。 現金売上が多い小売・飲食業では、高い入金限度と超過手数料の低さが重要です。オンライン中心の事業なら、ACH送金の無制限利用を優先するかもしれません。
- 利息や運用機能。 近年のフィンテック銀行は競争力のある利率を提供することがあり、余剰資金を自動でサブ口座へ移す設定が可能です。
- 会計ツールとの連携。 Beancount互換のエクスポート形式、銀行フィード、CSVダウンロードなどが揃っていると照合作業が格段に楽になります。
- デジタル vs 店舗サービス。 当日中の現金入金や対面サポートが必要か、完全オンラインで十分かを見極めてください。
候補を2〜3行に絞り、それぞれの要件をメモしておきましょう。第一候補が遅延した場合に備えて代替案を用意しておくとスムーズです。
3. 銀行が求める書類を揃える
候補が決まったらチェックリストを作成します。一般的に求められる書類は次の通りです。
- 主要株主(持分25%以上)の本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)。
- 法人設立書類(Articles of Organization/ Incorporation、Operating Agreementなど)。
- EIN確認書(IRS SS-4レター)。
- 必要に応じた事業許可証やライセンス。
- 口座開設権限を示す議事録・決議書。
- 事業の実住所を証明する書類(賃貸契約書、公共料金の請求書など)。私書箱は認められない場合があります。
書類はスキャンして安全なフォルダに保管しておきましょう。オンライン銀行ではPDFアップロードが求められ、店舗型ではその場でコピーが取られます。準備が整っていれば面談時間も短縮できます。