海外送金のベストルート:Beancount台帳に最適な経路を選ぶ方法
海外の委託先、リモートチーム、 海外在住の家族などがいると、国際送金は日常的な経理業務になります。手数料や為替変動は複雑さを増しますが、事前に計画しておけば最適な送金経路を選び、Beancountの台帳を正確に保てます。
ステップ1:目的と頻度を明確にする
送金する理由と頻度をまず記録しましょう。フリーランサーへの四半期ごとの支払いと、子会社への毎週の立替精算ではリスクが異なります。payee
、project
、invoicenumber
などのメタデータで業務目的をBeancountに記録しておくと、レビューや監査でトレースしやすくなります。
ステップ2:主要な送金オプションを比較する
多くの国際送金は3つのカテゴリに分類されます。台帳の証跡レベル、スピード、コストの観点から比較検討しましょう。
銀行送金(SWIFT)
従来型の銀行送金はSWIFTネットワークを利用し ます。信頼性が高く、コンプライアンスの証憑も揃いますが、固定手数料(1件あたり15〜50ドル)や中継銀行の追加手数料が発生する場合があります。以下のケースに向いています。
- 受取銀行と既に取引関係がある。
- 金額が大きく、固定手数料の割合が小さい。
- 監査人や投資家が求める紙の証跡が必要。
Beancountでは次のように2段階で仕訳します。
2025-09-10 * "Wire to Berlin Studio" "September design sprint"
Assets:Bank:Operating -2500.00 USD
Expenses:Professional-Services 2450.00 EUR @@ 2500.00 USD
Expenses:Bank-Fees 35.00 USD
Assets:Bank:Operating 15.00 USD
この例では銀行手数料を別勘定にし、コスト記法でEUR金額をUSDキャッシュアウトに紐付けています。
フィンテック送金プラットフォーム
中小企業向けの特化型プラットフォームは、競争力のある為替スプレッドと低い送金手数料を兼ね備えています。多くが会計ツールと連携し、Beancountに取り込めるCSVを提供します。以下の状況で効果的です。
- 毎月同じ通貨で複数のベンダーに支払いを行う。
- 給与や請求書処理の前に為替レートを固定したい。
- APIやWebhookなどの自動化で迅速に照合したい。
プラットフォームの明細を取り込み、各仕訳にサービス名のタグを付けると、異議申し立てやチャージバックの追跡が容易です。
マルチカレンシー口座とデジタルウォレット
複数通貨の残高を保有しておけば、換金タイミングを自分で選べます。受け取りと支払いを同じ外国通貨で行う場合、デジタルウォレットが真価を発揮します。ただし次の点に注意してください。
- 残高が動かない場合の休眠手数料。
- 国によっては事業利用が制限されていること。
- 月末にBeancount台帳で時価評価する必要があること。
ウォレットは通貨ごとに独立した資産勘定としてモデル化し、price
ディレクティブで再評価してバランスシートに最新の為替を反映させましょう。