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海外送金のベストルート:Beancount台帳に最適な経路を選ぶ方法

· 約5分
Mike Thrift
Mike Thrift
Marketing Manager

海外の委託先、リモートチーム、海外在住の家族などがいると、国際送金は日常的な経理業務になります。手数料や為替変動は複雑さを増しますが、事前に計画しておけば最適な送金経路を選び、Beancountの台帳を正確に保てます。

ステップ1:目的と頻度を明確にする

送金する理由と頻度をまず記録しましょう。フリーランサーへの四半期ごとの支払いと、子会社への毎週の立替精算ではリスクが異なります。payeeprojectinvoicenumberなどのメタデータで業務目的をBeancountに記録しておくと、レビューや監査でトレースしやすくなります。

ステップ2:主要な送金オプションを比較する

多くの国際送金は3つのカテゴリに分類されます。台帳の証跡レベル、スピード、コストの観点から比較検討しましょう。

銀行送金(SWIFT)

従来型の銀行送金はSWIFTネットワークを利用します。信頼性が高く、コンプライアンスの証憑も揃いますが、固定手数料(1件あたり15〜50ドル)や中継銀行の追加手数料が発生する場合があります。以下のケースに向いています。

  • 受取銀行と既に取引関係がある。
  • 金額が大きく、固定手数料の割合が小さい。
  • 監査人や投資家が求める紙の証跡が必要。

Beancountでは次のように2段階で仕訳します。

2025-09-10 * "Wire to Berlin Studio" "September design sprint"
Assets:Bank:Operating -2500.00 USD
Expenses:Professional-Services 2450.00 EUR @@ 2500.00 USD
Expenses:Bank-Fees 35.00 USD
Assets:Bank:Operating 15.00 USD

この例では銀行手数料を別勘定にし、コスト記法でEUR金額をUSDキャッシュアウトに紐付けています。

フィンテック送金プラットフォーム

中小企業向けの特化型プラットフォームは、競争力のある為替スプレッドと低い送金手数料を兼ね備えています。多くが会計ツールと連携し、Beancountに取り込めるCSVを提供します。以下の状況で効果的です。

  • 毎月同じ通貨で複数のベンダーに支払いを行う。
  • 給与や請求書処理の前に為替レートを固定したい。
  • APIやWebhookなどの自動化で迅速に照合したい。

プラットフォームの明細を取り込み、各仕訳にサービス名のタグを付けると、異議申し立てやチャージバックの追跡が容易です。

マルチカレンシー口座とデジタルウォレット

複数通貨の残高を保有しておけば、換金タイミングを自分で選べます。受け取りと支払いを同じ外国通貨で行う場合、デジタルウォレットが真価を発揮します。ただし次の点に注意してください。

  • 残高が動かない場合の休眠手数料。
  • 国によっては事業利用が制限されていること。
  • 月末にBeancount台帳で時価評価する必要があること。

ウォレットは通貨ごとに独立した資産勘定としてモデル化し、priceディレクティブで再評価してバランスシートに最新の為替を反映させましょう。

ステップ3:為替と手数料を正しく記帳する

送金には、送金額と換金・配送コストという少なくとも2つの要素があります。Beancountで以下のように分解しましょう。

  • @@(コスト注記)や@(価格ディレクティブ)を使い、取引時の為替レートを固定する。
  • 手数料はExpenses:Bank-FeesまたはExpenses:FX-Spreadなど専用勘定に計上する。
  • 先物取引や指値注文を使う場合は、method: forwardなどのメタデータを追加し、ヘッジ戦略を記録する。

ステップ4:証憑のトレイルを整備する

国際コンプライアンスの要件は頻繁に変わります。次の資料を揃えておきましょう。

  1. 送金金額を裏付ける請求書や契約書。
  2. 参照番号と為替レートが記載された送金確認書。
  3. 受取側からの着金連絡。

Beancountの仕訳にdocumentディレクティブで添付すれば、監査でもメールを遡る必要がなくなります。

ステップ5:月次でレビューと照合を行う

国際送金は着金まで数日かかることがあります。月次でBeancount台帳と銀行・プラットフォーム明細を突き合わせましょう。特に以下をチェックします。

  • 月末時点で未着金の送金。
  • マルチカレンシー残高の為替差益・差損。
  • 徐々に増えている手数料(料金の見直しが必要な兆候)。

送金前のチェックリスト

  • 受取人の銀行情報またはウォレットアドレスを確認したか。
  • 銀行やプラットフォームの送金上限を確認したか。
  • 予定レートと総コストをBeancountに記録したか。
  • コンプライアンス用の証憑を準備したか。

段取りよく進めれば、海外送金が照合作業の悪夢になることはありません。スピード・コスト・証憑ニーズに合った送金経路を選び、Beancountで細部まで記録することで、資金がどこへ向かっても監査に耐える台帳を維持できます。